四半世記

感想文ページ(ネタバレあり)

オンライン時代の導入修習と、用意したほうがいい6つのもの

司法修習が始まった。

司法修習の簡単な紹介

 

司法修習を知らない人のためにこれがどんなものなのか説明しよう。

司法修習は、司法試験に合格した人が法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)の資格を得るために行く研修のようなもの。

www.courts.go.jp

2021年現在だと、司法修習は

 導入修習(1か月くらい)

 分野別実務修習(裁判所・検察・弁護士事務所を合計7か月くらい)

 集合修習(1.5か月くらい)

 選択型実務修習(1.5か月くらい)

 2回試験(5日間)

で構成される。集合修習と選択修習の順番は人によっては入れ替わる。

 

2020年の司法修習、業界的にいうと74期の司法修習はコロナで司法試験によって日程が大幅にずれ込んだ。

例年11月頃から始まる導入修習は4月(正確には、なぜか3月31日)から始まることとなった。

通常であれば和光市にある司法研修所というところに1000人以上の人が集まって寮生活のような雰囲気で修習をするらしいのだけど、

今年は導入修習はフルオンラインということになった。

その導入修習が終わってしばらく経ったのでその感想をば。

 

導入修習の感想

 

司法修習の役割は法曹実務家を育成する点にある。

司法試験を突破してある程度の法解釈能力があると認められる人々に事実認定をする能力を身に付けさせる。

導入修習は司法試験に受かってそこそこ浮かれてる人々に冷や水を浴びせる洗礼みたいな面がある。

まず修習に入る前に解いてみろと言わんばかりの事前課題が出るし、その事前課題の解説がある前から導入修習で新たな問題を起案させられる。

たぶんできないことを自覚させて危機感を持たせるためなのだろう。

 

この試みは前時代の匂いがしてそもそもそんなに有効なのかという疑問があるけれど、コロナ下においてはさらに効果が落ちていると思う。

2回試験は手書きなのに(これもどうかと思うけど)オンラインでの起案はパソコンで本番と環境違うし。自宅で一人で作成してるから集まって起案するより緊張感薄いし。

それに(個人としては)幾度も司法試験に落ちてるとちょっとできないくらいじゃ動じなくなってる。

そんなわけで"洗礼"を受けて世界が変わったなんてことはなく、事実認定について講義があってから起案を課してくれればいいのにと思ってた。

 

一応システム的にはオンラインには対応してた。

ただカリキュラム的にはオンラインに対応してるとは言い難いと思った。

コロナ禍という状況が一時的だと考えていて従来の方式から変える必要がないと思っているのかもしれない。

しかしなんだかんだで1年以上続いてて、1年前から状況が良くなったとは思えない。

75期以降もこの状況が続く可能性があるのだから、洗礼を浴びせる方式は見直すべきなんじゃないでしょうか。

 

用意したほうがいいと思ったもの

オンラインだからこそ用意したほうがよいもの。以下は75期以降でもひょっとしたら役に立つかもしれない(おすすめ品は2021年5月時点)。

 

①有線ネット環境

講義が動画で配信されるため。

司法研修所が作成したビデオ動画を講義で配信することもあるので強度な回線でそこそこのパソコンスペックがあったほうがいい。

 

まず配信側の司法研修所のネット環境が貧弱なんだけどね!

 

②ノートパソコン

ロースクール経由だと持ってない人はあまりいないかもしれないけど、持ってない人は買ったほうがいい。

なぜなら、実務修習でも使うから。

どちらかしか買えないとしたらデスクトップよりもノートパソコンがいい。

そして世界はWindowsで構成されているからMacよりWindowsのほうがいい。

そこまで重い普段使いをしないのであればスペックもそこそこで10万円に収まるくらいのでいいのかな。

 

③bluetoothイヤホン

オンライン講義の最大の利点、それはカメラをオンにしてない限り何をしてるか見えないこと。

無線のイヤホンをしていれば講義中にトイレに行くことも、宅配便を受け取ることも、洗濯をすることも、食事の準備をすることもできる。

長時間つけることになるので重量のあるヘッドセットよりもイヤホンのほうが個人的にはよかった。

 

④webカメラ

これはむしろ修習前の就職活動の方が効果があるかもしれないけれど、姿がちゃんと見えるというのも大事。

スマホのカメラで代用するのもありだけど、1日中ある講義でスマホをカメラとして起動できるようにセットしておくとバッテリーの消耗が激しくなる。

最近は値段が多少落ちついてきたからパソコンに内蔵されていないなら買ってしまうもよし。

あとそれなりのものを買うとマイク機能が付いてくるのもよい。

講義中に喋る機会はそんなにない、とはいえグループディスカッションはあるので破滅的なマイクの音質だと「なんだこの人・・・」となる。

飲み会もオンラインなので交友面でも響く。リアルで会った場合の口臭が匂う人のようなものだから。

 

 ⑤プリンター

司法修習のセキュリティ関係は非常に厳しい。実際の事件をもとにした教材だから当然といえば当然。

ただ、セキュリティ重視思想が紙重視思想とあいまって「紙に印刷したものなら保持を認める」という結論になってしまっている。

だから、配布されたプリントや作成した起案を印刷する必要が出てくる。

各種給付金の申請書類も紙での提出が基本となっているため、安物でもプリンターがないと辛い。といってもプリンターは安くないけど・・・

 

⑥外部モニター

オンライン講義の場合、講義を写す画面とノートを写す画面の両方があると嬉しい。デュアルモニター環境を試したことがなくて金銭的に余裕があるならば、たとえノートパソコンメインでもモニターをもっておいて損はないと思う。

とはいえ司法修習は実務修習のほうが長いのだからあれば嬉しいにとどまる。

 

 

あったほうが嬉しいものをあげたけれど本当に必要なのは①②くらい。①も無線LANでなんとかなるかな(おすすめはしないけど)

あとは財布と相談で!