5回受けて司法試験にやっと受かったのが前回の日記
そのときは今年は仕事やめないかなーという調子で書いていたけれどもやめることにしました。辞職決意から司法修習開始までをざっと振り返り。
方針転換
職場に恩があるから~みたいなことを思っていたのになぜ転職しようと思ったのか。
転職しようと思いたった瞬間は明確にある。
合格発表から1週間後くらいの日、営業時間後に急な仕事が入って日付が変わるくらいの時間になり、その日営業にきた会社の名刺を数えていたとき。
名刺を数えるのは年少な私の役回りになっていてそれ自体にそんなに不満はなかったけれども、さすがに深夜に1人で名刺を数えていたときは虚無だった。
仕事が長引くときはたとえ年上でもこれくらいの雑用はやってくれてもいいじゃんとか、今度からそういうふうにしようぜという話をしようかなーでも面倒くさいなー嫌な顔されるかもしれないしーとか。
そう考えたときにもう辞めちゃおうと心が決まった。
司法試験に受かってなかったら辞めようとは思わないような話なんだけど、選択肢が出てくるとこんなに変わるんだなって。合格したときはそんなに感じなかったけど、合格したという事実は自分の考え方や気持ちのありように大きく影響を与えていることが恐ろしくなった。
あとは打算的な判断として、延ばして75期で行くよりは74期でいったほうが就職活動をしやすいのではないかという見通しがあった。
75期の時期にあたる令和3年度の司法試験は例年通りの5月に行われるということなので、74期と75期の修習生はかなり接近する。だったら先に就職活動できる74期で行ったほうが有利なんじゃないかっていうこと。
弱者の就職活動
そんなこんなで突発的に辞職を決意してなんの準備もしてなかったなかで始まった就職活動。
私は5回目の合格で順位も4桁とおよそ最下層に位置する属性の持ち主だった。
武器になりえるのは就職活動自体は大学を卒業した時、ローを卒業した時の2回の経験と就労経験。
過去の就活経験からすると、就活において重要なのは自分が重視すべき要素を絞り込むこと
市場との関係で何を求めているかを明確にしたほうが採る側としてもやりやすい。
やりがい・ヒエラルキー・報酬・拘束時間・報酬単価・分野…etc。
自分はなにを求めているかという点も重要。いやむしろそれが全てで、市場に迎合して自分を作り変えて社会化するよりも自分が求めているものについて本音を理解したほうがいい。
自分が何を求めているのか、お金が欲しいのかワークライフバランスが欲しいのかっていうのはやってみないとわからないけど、就労経験があるとそれが多少わかりやすい。それが最大の武器。
それで、私が重視したのは4つで、
①報酬単価。手取り/労働時間が前職を超えること
②個人受任できること
③将来的な独立が許容されうること
④オンラインに対応できること
①は資格職なんだからそれくらいはないとねということで必須条件。
②③は事務所からの拘束力が強くないところがいいということで。経営的な視点も吸収できる環境がベスト。
④は長い期間働くことも想定してこれからの時代に生き残れそうな事務所がいいから。
逆に重視しない要素は、分野・赴任地・最初数年の労働時間。
結果としては1か月程度でここと思う事務所が見つかり就職活動が終わった。
就職活動をしてみた感想として、少なくとも令和3年2月時点ではそんなに厳しい情勢には感じなかった。
でも合う合わないは露骨に出て、成績が求められてそうな事務所は視野に入れなかったので書類落ちはなかったけれども面接の最中からお祈り確実なことがわかる事務所がある一方、とんとん拍子で選考が進んだところがあった。
②③あたりはボスの弁護士によってかなり色が出る。説明会で明示されるところもあるし聞かないと答えてくれないところもある。個人受任可でも事務所の仕事が忙しくて実質的にできないところなんかもあって、そういう場合はその事務所の若手弁護士に聞いてみれば反応が素直だから大体わかる。
あと④オンライン対応についてはかなり差がでる。zoomの操作に手間取ってたりマイクや回線の質が悪かったり。マイクや回線って履歴書の字の綺麗さみたいなもんだからそこのクオリティが低いとうーーんとなっちゃう。これは採用側と就職側のどちらにも言えることなんだと思うけど。来年以降もオンライン情勢が続くならスーツよりもwebカメラとマイクに1万円程度出したほうがいいよ。
結局事務所の経営者とどれだけ波長が合うかみたいなところがあるので数撃ってればそのうち当てることができる情勢なんだと思う。希望条件は結構わがまま気味だったけど、赴任地の自由設定がきいて条件を満たす事務所と巡り会えた。
プレ司法修習
そんな感じで2月頭から就活を始めて3月初旬に終わらせたんだけどそのあとのほうがきつかった。
3月は仕事のほうが過労死ラインの時間外労働が発生するくらい忙しくて大変だったうえに司法修習関係の書類処理とか事前課題作成とか。
事前課題の分量的には勉強する時間を含めて1週間くらいは欲しい分量だと思う。それはすなわち3月の休日すべてを費やすくらいは必要。
だから仕事は早めに辞めたほうがいいとは思うんだけど、一方で司法修習生の懐事情はとても厳しいのでお金も欲しい。
地獄の3月が終わった感想としては、お金の心配がないなら仕事は辞めたほうがいいということ。
司法研修所は1日中作業可能時間があるという前提で事前課題の量を設定している。仕事と課題だけなら両立できなくもないけれど、これに就職活動が加わるとムリ。私は幸運にも3月頭でピンとくる事務所から内定をもらえたけれど、早期に自分のとってのそういう事務所を見つけられるかは運次第。
さらに弁護士業界一般の離職率の高さからすれば内定キープをして他の事務所の選考を受けたほうが、入ったらやばい事務所でした問題を回避できる…かもしれない。
そんなこんなで再現性のない幸運に恵まれて、司法修習が始まって数日たった今までなんとか無事に生きてます。