四半世記

感想文ページ(ネタバレあり)

ICL(眼内コンタクトレンズ)を検討する

 


マスクをしていると眼鏡が曇って面倒くさい

それが最も大きな動機で、ICLの適合検査(無料)に行ってきた

 

ICLとは

ICL(眼内コンタクトレンズ Inplantable Contact Lens)はレーシックと並ぶ視力回復の手法らしい
ICL研究会という組織がありそこではこのように説明されている

ICLとは|ICL研究会

"角膜を削らない視力矯正"

ICLは角膜を3mm切開して虹彩と水晶体の間にレンズをはめこむ

対してレーシックは角膜の実質層にレーザーを照射して角膜の屈折率を矯正する

目の構造とはたらき|参天製薬 

 

ICLをするとどうなるか

視力が回復する。私は裸眼でどちらも0.1程度なので1.5とか2.0になることが見込まれる

これはあくまでも見込まれるということで実際に希望通りの視力に調節できるかは定かではない

値段としては50~70万円程度が相場かなあという感じ

施術する病院に加えてもとの視力や保証期間により値段はけっこうかわる

 

先行して知名度もあるレーシックとの違いは、まずは値段

レーシックは20~40万円程度だからなかなか違う

その分、ICLは

  • 角膜を削らないからレンズを外すことによって原状回復できる
  • 近視のリバウンドが起こる可能性がレーシックと比較して低い
  • 強度の近視にも対応できる(レーシックは矯正できる限界がある

といった点がメリットとして挙げられてることが多い

 

検査は無料、ということで話を聞きに行く意味でも行ってきた

 

検査・説明を受けた雑感

行ってきた病院は先進会眼科ということころ

senshinkai-clinic.jp

選んだ理由は、手術実績数が多い、手術費用が若干安め、直近で検査の予約がとれるといったところ

 

検査にかかった時間は1時間半くらい

通常の視力検査や眼圧測定に加えて、角膜の状態とか形状とか、他に眼病がないかといった検査を受けた

あと、薬を眼にうって瞳孔が開いた状態にもした

手術時は瞳孔が開いた状態でコンタクトレンズを挿入するため、ちゃんと開くかを確認する目的らしい

瞳孔が開いた状態でいると近くに焦点が合わなくなって疑似的に老眼状態になるのは興味深かった

近いところをみるために眼鏡を外す、という動作の意味がわかった

 

さて、術式の説明を詳細に聞いて思ったこと

①行動制限が結構厳しい

角膜を切開して自然治癒を待つ、という性質上かなり厳しい行動制限がされる。

例えば、手術後3日間は髪の毛を洗えない、より正確にいえば水が入るのがいけないので美容室でするような洗髪はできる

翌日も術後検査があり、1週間後2週間後1か月後2か月後3か月後6か月後1年後と細目に検査がある

1か月ほどは激しい運動をできない

 

これらの制限は、特に社会人にとっては厳しいかもしれない

 

②ハロー・グレアはほぼ発生しており完全にはなくならない

koikeganka.com

2021年12月現在で多く使われているICLのレンズは、EVO+という中央に穴があいているタイプらしい

穴が空いている理由は、目の中の房水の流れを確保して眼圧を下げて、緑内障や白内障のリスクを下げるためである

そのかわり穴が空いているがために光に輪ができているようにみえるらしい

このハローや、光が滲んでみえるグレアは、術後しばらくすれば脳が慣れる。すなわち現象自体は残るということ

 

夜の光の見え方に愛着がある人は受け容れがたいかもしれない

あとドライバーで夜間も走る人は慣れるまでは事故の可能性が上がるかもしれない

 

③老眼へは対応できない

老眼は、水晶体の周りの毛様体筋の機能が衰えることでピント調節をしづらくなる現象

調節しづらい、と感じるのが40歳頃からとのこと

瞳孔を開く薬をうたれたおかげで老眼という状況を身をもって感じることができた

 

ICLにより視力を回復しようが、ピント調節機能が衰えればどのみち老眼という状態になる

手術により老眼になる時期が早くなるわけではないが、視力がよいほどピント調節できない不便さを感じやすくなる

近視ならば近いところをみるために眼鏡を外すが、視力が良い場合はあらたに老眼鏡が必要になる

すなわち、ICLによって眼鏡がいらなくなるという旨味は老眼鏡が必要となった時点で終わりを告げることになる

 

検査を受けての検討

ここまでで私が感じたICLについて

①ICLには賞味期限がある

上で述べたようにICLによって眼鏡をしなくてよいとなったとしても、その利点は老眼になった時点で終わる

さらに、視力が回復してそれが維持できていたとしても白内障になったらICLの利点は実質的に終わる

白内障の治療は水晶体を眼内レンズに変えることにより行われるところ、そうなった時点で眼内コンタクトレンズは除去しなければならないからだ。ICLと白内障手術は競合する

 

②リスクはゼロではない

ICL自体にも白内障、緑内障のリスクがある。その他感染症や角膜内細胞の減少など色んなリスクが存在し、それらは低いといえどもゼロではないと説明される

それが具体的に何%なのかというのは歴史の浅さもあり正確なところはわからない部分もある

icl-minna.net

ちなみにこのページでは眼内炎の確率は1/6000とされている

いずれにせよ手術である以上はリスクが存在するということ

 

③コスパはそれほど高くない

たまにコンタクトレンズ換算で何年でもとがとれるから最終的にコスパがよいという説明をする人がいる

個人的には完全には同意できないと思う

計算してみよう

ワンデーの最も高い部類のコンタクトレンズが1か月3000円、年間36000円

検診料が3か月ごとに1500円程度として年間6000円

合計42000円だとして、50~70万円の手術費用を回収するのに12~17年程度はかかる

視力が安定する30歳がこの施術を受けたとして、ちょうど老眼が生じるくらいの時期にやっと回収できることになる

つまり、ICLの経済効果を回収する頃には眼に新たな対策が必要となる時期なのだ

 

※医療費控除で多少手術費用が戻ってくるが、現金がただちに必要であるという点と大雑把に相殺して考えた

 

④近視の世界を失う

いささかノスタルジックな視点だけど、近眼という世界を失う

視力が回復したらしばらくは近眼というものがどういう現象なのかわからなくなってしまうだろう

だからどうしたそんな世界いらないというのもわかるけれど、失ったらちょっとは寂しいかなと私は思った

 

⑤裸眼で生活できる

ここまでデメリットをあげつらってきた

率直にいえば適応検査で受けた説明で手術をしない方向に揺れつつある

じゃあどうするか

最終的には裸眼で生活できるということにどれだけの価値を見出すか

それにいま60万円くらいの大金を投じることができるかにつきるんだろう

 

裸眼で生活すれば眼鏡が曇ることはないしコンタクトを外し忘れて眼がぱさぱさになることもない

災害に対しても強い

朝起きてから夜寝るまで世界はくっきりしたままになる

こういうことが10~20年くらい味わえるということにいくらの値段をつけられるか

 

ここまで考えて私は結論が出なかったので、次回の検査時に決めようと思った