Find Xとは
Find Xとは、中国のOPPO社がだしたハイエンドスマートフォンである。
2018年11月9日に日本でも展開された。Simフリー端末で展開されており、格安sim会社では楽天やIIJmioが本体を扱っている。
OPPOは中国のメーカーであり、日本では無名であるが、世界のスマホシェアランキング4~5位と勢力を伸ばしている。
3位にいるHUAWAIが政府調達から排除されてOPPOとしてはチャンスにもみえるが、同じ中国製という点が足を引っ張りそうでもある。
Find XはそんなOPPO社の中で最も高価な機体で、日本版は2018年12月現在税込み12万円ほどする。simフリーのiPhoneXR256GBより高く、iPhoneXS64GBに匹敵する強気の価格設定(日本版Find Xは256GBで拡張不可)。
公式のスペックページはこちら
セールスポイント
この機体の最大の売りは画面占有率93.8%ということ。これは2018年現在では世界最高の数字であり、感覚的にはディスプレイそのもの。
これを実現するためにカメラを機体の内側に設置して必要なときにポップアップする構造になっている。
Find Xの特筆すべき点はまさにこのアイデアにあり、これを実現するための12万円という設定である。逆にいうとこのアイデアに価値を見出せなければ買う意味はない。
私は3年間使ったiPhone6sの買い替え先を探していて、家電量販店で触って衝動的に買ってしまったのだけれど、もし触る機会がなかったらこのスペックに12万円を出そうとは思わないだろう(楽天モバイルのキャンペーンで9万円台で買ったけれども)。
もしもこのアイデアに興味がある人は、この記事に書いた悪い点を了解したうえで一回触ってみることをおすすめします。
使ってみての感想だけれども、画面占有率が高いと画面の大きさの割にサイズを感じない。6.4インチのディスプレイはかなり広めといえるけれど、片手操作も標準的な男性の手ならなんとかできる(割り切って両手にしたほうが楽だけど)。
一方で、カメラの上下運動のタイムラグは気になる人には気になるだろう。
そして起動音は少し困る。授業や仕事の合間にトイレの個室でスマホをいじろうと取り出したときに機械の起動音がすると、盗撮等のあらぬ疑いをかけられるんじゃないかとヒヤリとする。
あと、どうしてもカメラ部分に埃が溜まるので定期的な掃除は必要。耐久性については1か月使用したにすぎない感想だけれども、今のところは問題ない。
良い点
- 有機ELの大画面でとても見やすい
- 機体の外観がキレイ。画面のカーブがえろてぃっく
- 2018年現在のトップクラスのスペック(Snapdragon845、8GBのメモリ)で基本的には困らない
- 充電がはやい(付属品を使うことでフル充電35分)
- 2500万画素のフロントカメラとプリクラ並みの自動美顔詐欺補正による高いセルフィー能力
Find Xは外観のスタイリッシュさにかなり比重を置いており、前述のポップアップ式カメラも含めて眺める機体としては申し分ない。
充電が早い点はFind Xの少ない実用面での利点であり、使ってみるとかなり便利。例えば、寝る前に充電し忘れても朝お弁当を詰めている間に1日に必要なくらいの充電はできる。ただし、付属品で充電したときのみの速度であり、モバイルバッテリーを使ったときはこの速度は出ない。
高い自撮り能力はFacebookやインスタグラムをやってる人に合うと思う。私はtwitterみたいな匿名のソーシャルのほうが気楽だと思うタイプだけど、それでもたまには自撮りしてみようかなと思うくらい補正がかかる。あと、出会い系したい人にもいいかも。
悪い点
- 独自OSのColor OSと現時点では貧弱なサポート体制
- 指紋認証なし、オサイフケータイなし、防水防塵なし、ハイレゾなし、イヤホンジャックなし、ワイヤレス充電なし、モノラルスピーカーという気の利かなさ
- AIカメラの自動補正が思ったとおりに働かない
- 3400mAhという数字ほどには電池の持ちは良くない
- 高い
まず独自OSについて。現行のColor OS 5.2はAndroid 8.1をベースにiOS風味な味付けをしたOS。iPhone6sから代えた私はそこまで違和感なくいけたけれども、Androidから代えた他の人の意見だと使いにくさがあるそう。本来Androidなら出来るはずの一部のことが出来なくなっているとか。そもそもOPPOがマイナーだからColor OSの情報が少ないのも辛い。
OPPO JAPANがこれからどうなるかわからないが、これまでの対応だとOSアップデート(たぶん5から6へ)に対応しないのもマイナスといえる。ただ、5.1から5.2は配信されて、それなりに使いやすくなった。
Color OS について以下のサイトを参考にしました
指紋認証なしに始まるないものづくしは、見た目のスタイリッシュさを追求した結果の代償といえる。このスマホに実用性を求めてはいけない。
人によってどの機能の欠如が痛手になるかはそれぞれであるが、個人的には指紋認証がないのが地味に痛い。顔認証の精度に不満はないが、寝そべってスマホをいじるときは少し不便。
メインカメラはAIの自動認識により800のシーンに最適化してくれるそうだが、正直なところあまり恩恵を感じない。お弁当を撮ろうとしてみてもなにかしらの補正がかかるわけではなかった。手動でも補正を選べればよかったのだけれど。
バッテリーは、急速充電のため1700mAhのバッテリーをふたつ搭載しているという構造上のためか、数字ほどはもたない。具体的にいうと1日1時間のソーシャルゲームと2~3時間の動画視聴、休憩時間のネットサーフィンをすると1日半くらいで充電が切れる。
そしてなにより高い。これはやはり最大のネック。
Find Xは実用性やカスタマイズ性に欠ける反面、見た目のわかりやすい凄さやカメラ自動補正のようなオート機能が充実という面から、ディープに使い倒すというよりもある程度ライトにスマホを使う層に合っていると思う。
だが、12万円という値段設定はとてもライトとはいえない。
ハイエンドのなかでも高いほう。写真の美しさなどひとつひとつの機能は高いけれども値段からみるともう少しないのかという物足りなさが沸き上がる。
ライバル機種はHUAWEIのMate 20 proやiPhoneXRやHTC U12+、あるいはGalaxyS9+が想定されるけど、コストパフォーマンスでは勝てない。
感覚としては、10万円を切る値段なら選択肢になると思う。ただ、発売キャンペーンが終わった今となっては値下げを待っていると時代遅れになるかもしれない。
その他参考になるレビュー
賛否両論という感じ。
”First lets get to the good stuff; NOTHING”
酷評だが、言いたいことはわかる。スマホに実用性を求めるなら向かない。
ただ、日本版は上2つの動画でいわれているバグは多少改善されていると思う。
結論
悪い点が長くなったけれども、こき下ろしたいわけではなく、Find Xを買うなら上記のような短所を理解したほうが後悔がないということを伝えたい。
そして、大きい家電量販店か楽天やIIJの店舗で触ってみて、それでも惹かれるものがあるなら大丈夫でしょう。
私自身は、9万円台で買えたこともあって最高にハッピーではないけれどもまあよしという心持ち。
まとめると、Find Xは外観が素晴らしいが実用性に欠ける。
使い倒す生活の友ではなく、粗削りの目新しいものを旬なうちに楽しむ嗜好品。
すなわち、高価なオトナの玩具なのである。