凋叶棕とは?
このブログでもたびたび感想をあげている凋叶棕(てぃあおいえつぉん)。
一言でいえば、「東方Project」という弾幕シューティングゲーム等を原著作物として二次創作を行う音楽サークル。
「東方Project」は二次創作が非常に盛んな作品であるのだけど、そのなかでも凋叶棕の作品はとても特徴がある。
例えば原作の読解の深さだったり歌詞カードの作り込み具合だったりCDそのものにされた細工だったり。
しかし、そういう細部に神が宿ってる作り込みを他人に薦めるのは難しい。
原作をやってCDを聞いて歌詞カードを読んで歌詞の意味するところを考えてときには他の二次創作を嗜んで・・・
そのすべてを行えば行うほど楽しめると思うのだけど、ときにそれが遠すぎてつらい。
そしてそれは既存のファンにとってもそう。
私自身、プライベートの都合で1年半くらい離れざるをえなかった時期があるのだけど、それだけで最新作についていけなくなった時間もあった。
ところで時代はサブスクリプション。
CDで聞いてこそ、の凋叶棕の楽曲もサブスクで聞くことができるようになった。
この流れには様々な意見があるだろうけど動画サイトで違法視聴数が万を超えてた時よりはよっぽどいいと思う。
もちろんCDを買ったほうが楽しめるけれど、入口としては充分機能すると思う。
事情あって1年半くらい離れてた自分自身へのリハビリという意味も込めて。
サブスクで聞くということを前提におすすめのボーカル曲を5曲あげてみた。
聞いてみてほしい。
※2021年6月、最新作「報」
サブスクはSpotifyを前提(Apple Musicでも変わらないとは思う)
初心者向け評価基準
東方Project原作に触れて間もない・断片的にしか知らない人がサブスクで聞くということを前提に、評価基準をつくってみた。
1~5の5段階、下にいくほど主観的
①原曲アクセス容易度(原曲を体験したい場合の難易度)
☆☆☆☆☆ 6面までの曲
☆☆☆☆ EX
☆☆☆ 小数点作品・CD
☆☆ 書籍
☆ 旧作・オリジナル
②歌詞理解容易度(歌詞カードなしで聞くことが前提のため)
☆☆☆☆☆ わかる
☆☆☆☆ 当て字がある等やや聞き取れない
☆☆☆ 理解には絵がほしい
☆☆ 二次資料が欲しい
☆ わからん
③原曲想起度(どれくらい原曲を感じられるか)
☆☆☆☆☆ 歌メロの中心の部分に感じる
☆☆☆☆ 歌メロの一部に感じる
☆☆☆ 歌以外のメロディに感じる
☆☆ ペースをいじればわかる
☆ わからん
④創作度(歌詞内容として原作からどれくらい創作を加えているか)
☆☆☆☆☆ 原作設定をそのまま歌に
☆☆☆☆ 原作から追加小
☆☆☆ 原作から追加大
☆☆ 二次創作オンリー設定が下敷き
☆ あらたな二次創作
⑤メロディのキャッチーさ(主観)
上記はあくまでも初心者向けとしての指標であって、曲そのものとしての評価とは異なることをご留意。
おすすめ5曲
Ⅰ ささぐうた-ヒガン・ルトゥール・シンフォニー-(『遙』収録)
原曲: 彼岸帰航 ~ Riverside View(東方花映塚)
☆23
①原曲アクセス ☆☆☆☆☆
②歌詞理解 ☆☆☆☆
③原曲想起 ☆☆☆☆☆
④創作度 ☆☆☆☆☆
⑤キャッチーさ ☆☆☆☆
東方花映塚の小野塚小町を題材にした曲。
三図の水先案内人というキャラクター設定をストレートにしたような内容の曲で、その設定を知っていれば誰を送っているのかはともかく歌の内容は歌詞カードなしでも理解できる。原作では仕事をしてない印象が強いけど仕事をしているときの曲。
そして彼岸帰航という聞きやすい原曲をかなり反映しているメロディも受け容れやすいと思う。
惜しむらくは花映塚がナンバリング作品のなかでは特異でとっつきづらいゲーム性をしていること。コンテニューしてもエンディングみられるから難易度としては高くない、というかノーコンクリアはきつい。ストーリーは死が絡んでいるだけあっていい雰囲気で面白い作品だと思うんだけどね。
Ⅱ 語九十九節(『逆』収録)
原曲:幻想浄瑠璃 (東方輝針城)
☆23
①原曲アクセス ☆☆☆☆☆
②歌詞理解 ☆☆☆☆
③原曲想起 ☆☆☆☆
④創作度 ☆☆☆☆☆
⑤キャッチーさ ☆☆☆☆☆
東方輝針城4面ボスの九十九弁々と九十九八橋の姉妹をテーマにした曲。
琵琶と琴の付喪神の姉妹で、それぞれの楽器で奏でている感があり味付けもまた伝統楽器的。ツインボーカルなのもおいしい。
とにかく原曲もメロディもキャッチーで音という面では凋叶棕楽曲のなかでトップクラスのおすすめ曲。
原作も輝針城は多少くせがあるものの比較的簡単な部類(咲夜妖器なしを除き)で入門作の選択肢としてあり。ただし九十九姉妹の部分はそれなりに苦戦するかもしれない。シリーズ共通だけど4面をうまく突破するパターンを見出すことがクリアの鍵なのだ。
Ⅲ <正調>佐渡の二ツ岩(『徒』収録)
原曲:
☆22
①原曲アクセス ☆☆☆☆
②歌詞理解 ☆☆☆☆
③原曲想起 ☆☆☆☆☆
④創作度 ☆☆☆☆
⑤キャッチーさ ☆☆☆☆☆
東方神霊廟のEXボスの二ッ岩マミゾウの元ネタである佐渡の狸の元締め団三郎狸を題材にした曲。
マミゾウは外の世界から幻想郷に呼び寄せられた設定で、それを佐渡のタヌキ側から歌ったと解釈すると地味にせつなさのある曲。
演歌的曲調に原曲に近いキャッチーなメロディ、適度な短さ。カラオケで凋叶棕を歌うならこの曲がいいと思う。
神霊廟のノーマルは歴代作品のなかでも簡単なほうだけどEXは個人的には少し難しめ。というかノーマルでは無視してもクリアできた霊界システムを使いこなさないとクリアできなかった思い出。
Ⅳ ブラック・ロータス(『屠』収録)
原曲:感情の摩天楼 ~ Cosmic Mind(東方星蓮船)
☆21
①原曲アクセス ☆☆☆☆☆
②歌詞理解 ☆☆☆☆
③原曲想起 ☆☆☆
④創作度 ☆☆☆☆☆
⑤キャッチーさ ☆☆☆☆
東方星蓮船の6面ボス聖白蓮をテーマにした曲。
ゲームをやってるうえではそれほど表に出てこないけれどキャラ設定textをみると彼女が関係する人物が死んで死を極端に怖れるようになってからのストーリーが比較的細かく描かれてる。この曲は設定をかなり忠実に反映させていて、忠実すぎるがゆえに二次創作ではなかなかみたいタイプのテーマ付けかもしれない。
原曲の感情の摩天楼は白蓮のゲーム中の弾幕と同様に華やかな曲で、ブラック・ロータスから感じられないことはないけど原曲成分が薄いとおもうかもしれない。しかしこの曲で描かれているような境地を超越してああなったと解釈すると薄めの原曲成分すらも原作によせているかに思えてくる。
東方星蓮船はゲームとしては初心者には薦めがたい面がある。ベントラーシステムはランダム性が強くそれがゆえに緻密なパターン化が必要。好き嫌いは人によるけれども個人的には東方紺珠伝の次に苦労した作品だった。
Ⅴ 輝針「セイギノミカタ」(『奉』収録)
原曲: 輝く針の小人族 ~ Little Princess
☆21
①原曲アクセス ☆☆☆☆☆
②歌詞理解 ☆☆☆☆
③原曲想起 ☆☆☆
④創作度 ☆☆☆☆☆
⑤キャッチーさ ☆☆☆☆
東方輝針城の6ボス小名針妙丸及び東方輝針城そのもののシナリオをテーマにした曲。
針妙丸と5ボスの鬼人正邪の関係を理解していればより楽しめる、けどあまりここで解説しすぎてしまうと原作未プレイの人の楽しみを奪ってしまうので内容にはふれない。ただ、かなり忠実に曲にしている印象はある。
原曲について機械的に判断すると☆3だけど編曲を含めた雰囲気はかなり近くなっているから評価よりも近さを感じるだろう。
ちなみに、この曲で扱っていたテーマを反転させた曲として異聞『正義の味方』(『逆』収録)という曲がある。輝針城原作で針妙丸と正邪の関係を理解したうえで異聞のほうを聞くとより楽しめる。